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恋セヨ乙女
第27章 温泉へ行こう!
「最後の一発だな」


「泣いても笑ってもこれで終わりですね」


山瀬さんが構えた。
祈る気持ちでチョコが落ちないよう見守る。


パーン!!!
弾はチョコに当たるもわずかに動いただけで留まっている。


「あーあ、残念」


「…本当に。では、この雪辱は私が晴らします!」


銃を構え最後の狙いを定めると…


「もっとこっち」


後ろから私を覆い、構える手に手を重ねて耳元で先生が言う。


「この銃、軌道に癖があるから少しずらして」


「は、はい」


「もっとしっかり持って…そう、いくよ」


ピタリと銃口が止まり狙いを定めた先生が私の指ごと引き金を引く。


パーン!!!
勢いよく飛び出たコルクがチョコの支点から一番離れた場所を狙い撃ち、バランスを崩したチョコはパタリと後ろに転がり落ちた。



「やった!落ちた!!恭也さん、落ちたね!」


「良かったな」


「おめでとうお嬢ちゃん、愛の力だね」


「ありがとうございます!!」


周りのお客さんもパラパラと拍手してくれて、チョコを掲げながら私はペコペコ頭を下げる。


「よかったね真優ちゃん」


「理穂さんに半分あげますね!」


「ふふっ…ありがとう。でも気持ちだけでいいからね」


可笑しそうな理穂さんが先生を見てまた笑う。


「なんか…楽しいね」


「いいもん沢山見られるな」


山瀬さんと理穂さんは楽しげで、先生はというと…



「………」



ムッツリ?



「恭也さんもチョコ食べる?」


「真優喰うからいい」


「…だんだん発言がセクハラっぽいですよ?」


それからまた温泉街を散策したり、甘味を食べたりしていると日も暮れ始め、旅館へ戻ることにした。
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