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恋セヨ乙女
第28章 花の嵐
「で、夜家に帰ったら生まれたっていうじゃない。慌てて病院に行ったらお母さんに怒られて怒られて…でも初めて見た真優は小さくて抱っこなんかしたら壊れそうで…顔なんて猿みたいにクシャクシャなのに可愛くてね。で、ずっと顔を見てたらピンと来たんだ。“この子の名前は真優だ”って」

お父さん…



「小さい頃は男の子みたいな遊びばっかりしてその癖に泣き虫で。“お父さんお父さん”って僕の後ばかり着いてきて」


お父さんからこんな話初めて聞いた。
お父さんの話す思い出の一つ一つが私にも思い出せるから、涙が溢れて仕方なかった。



「小学生になって中学生になって、高校生になって…いつの間にか大人の女性になったんだね」


お父さんの目が大切なものを慈しむように細められた。


「真優」


「はい」


「真優は恭也くんと一緒になって幸せになれると思うかい?」


「………」


涙で言葉が詰まるから、精一杯力強く頷いた。


「…ならお父さんが口を出すことは何もないよ。でも一つ聞きたいことがあるとしたら…恭也くん」


「はい」


「恭也くんはうちの真優のどこが好きなんですか?」


先生はじっと考える。


「とても一言では言えませんが…あえて言うなら真っ直ぐさでしょうか」


……そんなこと初めて聞いた。


「あとは笑顔が好きですね」


私を見て優しく笑って…


「い、いつも言ってくれればいいのに!」


照れ隠しから叫ぶとお父さんとお母さんが笑う。



「…安心しました。恭也くん、真優をお願いします」


お父さんとお母さんが先生に頭を下げた。

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