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恋セヨ乙女
第8章 キスマーク
ふざけていると電車が来てドアが開いた。


「………」


車内にはサラリーマンや高校生が沢山いて一瞬ひるんでしまう。


「乗るよ」


先生が先に乗り込んだ。私も後に続く。
乗り込むと間もなく扉は閉まり、先生が腕を立てて私を囲った。


「これなら怖くないだろ」


「………」


怖くないけど。
怖くないけどどうしていいか分からない。


居心地がいいような悪いような、嬉しいような困ったような。
第一他の生徒に見られたら…


今さらだけど非常に心許ない気持ちになってうつむいた。


「どうした?」


「…他の生徒に見られたら大問題になりませんかね」


「ああ…じゃあ」


先生は片手を離す。
それでももう片腕は頑なに私を守ってくれている。


「こっちの方が自然か?」


独り言みたいに呟いて。


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