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恋セヨ乙女
第8章 キスマーク
「駅からは一緒に行かない方がいいですよね」


「…そう?」


「だって先生のファンに見られたら怖いもん」


「時間が早いから会わないだろ」


「壁に耳あり障子に目あり。誰に見られてるか分かりませんからね」


「今さらだな。…でも鈴村さんが平気なら」


「はい。私はコンビニで適当に時間潰していきます。えっと…今日は本当にありがとうございました」


「いーえ」


駅につき、ペコリと頭を下げるとドアが開いた。


「じゃ、先生。また学校で」


小さく手を振って私は先に電車を降りる。
先生もわずかに笑ってくれていた。


先生より早く改札を出て駅前のコンビニに入る。
雑誌を手に取りパラパラとめくって、読むふりをして先生のことを考える。


たった一晩で激変した気持ち、近づいたと思ったらそれは幻で…
しかも全部が一人相撲。


夕べ頭を撫でてくれた先生の手、大きくて暖かかった。
あの手が彼女に触れる…


どんな風に触れたんだろう。


愛を、甘い言葉を囁いて。
先生の手が優しく滑らかに肌を滑る。


「………」



想像したら身体の奥がギュンと熱くて、胸が潰れそうに痛かった。











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