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第9章 興味

「そりゃ…俺も男だから」


ゴニョゴニョと大地らしからぬ言い方で言葉を濁す。


「男の人ってどんな時にエッチしたくなるの？」


「む、ムラッときた時だろ？」


「じゃあさ、キスマークってどういう時につけるのかな」


「そりゃ…する時じゃね？」


「どんな気持ちで？何でわざわざつけるんだろう…」





「…何なんだよおまえ」


怪訝な顔で大地が私を見る。


「純粋な疑問だよ。どうして大地はエッチしたいと思うの？」


それは本当に大地に聞きたかったことだろうか。


大地に問いながら頭の中には先生がいる。


先生が彼女を抱く。
それは恋人なら当たり前の行為なんだと思うけど…


どうして人はセックスしたがるのだろう。


男の人がエッチだから？
気持ちいいから？
心だけじゃダメなのかな？


多くの人が経験していくその行為は、子供を作るという本来の目的を避けてまで営まれる。
そこまでしてしたい理由って何だろう。



「真優」


「………」




「…知りたいなら確かめてみるか？」


ふいに真面目に大地が囁いて……


私の肩に手を置いた。
そしてゆっくりと顔を近づける。


「目、瞑れよ」


いつもより低い大地の声。
真剣な目には熱が隠っている。


百聞は一見に如かず。
…そういうこと？


経験すれば胸の靄は晴れるのだろうか。
私の疑問は解決するのだろうか…


そんなことを考えながら、言われるままに目を閉じた。