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第2章 春の日の

「みんなちゃんと揃ったね」



ニッとサナちゃんは笑い「一応出席を取ります」と名簿を開いた。




「相田」


「ハーイ」


「上野」


「ハイ」



……元気いっぱいな子、キチンとしてる子、やる気のない子。
ちょっと気怠い朝の教室に生徒たちの返事が響く。



出席を取り終えるとサナちゃんは連絡事項を簡潔に伝える。
そして「最後に報告があります」と妙にかしこまって私たちに向き合った。



「えっと、私、実は結婚しました」



その後の生徒たちの驚き様。


…確かにサナちゃんには彼氏がいた。
たまに彼氏の話なんかもしてくれていた。



「おめでとうサナちゃん」


「ありがとう！ありがとう！」


拍手の中サナちゃんは初当選した議員みたいに嬉し恥ずかしそうに手を振って礼を言う。


「でもサナちゃん水臭い！する前に教えてよ！」


「いやー、結構急に決まったんでね」


はにかむサナちゃんに私も心底嬉しくなた。


「で、ナニ先生になったの？」


「早苗スペクターになりました！」


「………」



一瞬にして静まる教室。
みんなの頭は今？マークでいっぱいに違いない。


だってサナちゃんの彼氏は高校の同級生で生粋の日本人だったはず。



「え、つーか誰と結婚したの？クリスマス彼氏と過ごすとか言ってたよね」


「あ、その人とは年末に別れたの」


皆の興奮を手で抑えるように両手をかざすサナちゃん。
なんでも年末に彼氏と別れ年明けに長年友人関係にあったイギリス人に想いを打ち明けられたらしい。


そこからはトントン拍子に交際は進み…


「でもってここからが大事。…実はお腹に子供がいます」



……えっと。
一瞬頭の中で誰もがその意味を考えて、次の瞬間には教室は割れんばかりの驚声に包まれた。