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恋セヨ乙女
第13章 修学旅行ナイショの恋
その後の私が気もそぞろだったのは言うまでもなく……
東大寺の南大門も大仏殿も。
二月堂も法華堂も春日大社もなんとなく過ぎてしまった。
とにかくよく歩いたことだけは怠い足から分かる。
ポケットに入った免許証は重大な秘密を隠し持ってしまったようで、時間が経てば経つほど掛けにくい声は更に掛けにくくなっていく。
翌日の自由行動では先生に会わなかったし、移動した京都でも先生のハーレムは変わらなくて…私は完全にタイミングを逃してしまっていた。
なかったことにして捨ててしまおうかなんて悪い考えが浮かんでは、大切な物なんだからと思い止まる。
勇気を振り絞ってハーレムに近づくも圧倒されて声すらかけられずにトボトボ戻るの繰り返し。
これじゃ修学旅行なんだか罰ゲームなんだか分からないと黄金に輝く金閣寺を前に今日も私は思い悩んでいた。
出会ってから先生には振り回されているけれどこんな時にまで悩まされるなんて。
ある意味一生の想い出になるかもしれないと半ばやさぐれ自笑する。
「金閣寺は擬人化したらチャラ男だね」
「なっちゃんの言ってることって本当意味わかんないよね」
……どうしてこんなもの拾ってしまったんだろう。
「ちなみに銀閣寺は質実剛健で優しい美少年」
「はぁ?」
先生の誕生日がクリスマスイヴだって…
「真優、何か言ってやって!」
不必要な情報まで知ってしまって…
「真優!」
ゆらに呼ばれて現実に戻る。
「なっちゃんも変だけど真優も変だよ」
「変…?」
「変、変だよ。心ここにあらずって感じ」
……確かにせっかくの修学旅行を満喫する余裕はない。
「やっぱ何か悩んでるんじゃない?」
「悩みっていうか…気がかりっていうか」
ここで相談して三人で返しに行けばいいんじゃない?なんてふと思い付く。
「あのね…」
「分かった!大地くんの事でしょ?」
「………」
大地?
「真優、こっちきてから連絡してる?」
「してない」
「じゃあ大地くんからは?」