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恋セヨ乙女
第13章 修学旅行ナイショの恋
「来てない」


はーっとゆらがため息をついた。


「大地くん待ってるよ」


「……そうなのかな」


「そうだよ!気になるでしょ?知りたいでしょ?好きな子の事は」


修学旅行前、先生も行くのかと気にしていた大地。
そうだ、私は大地を好きになりたいと心に誓った。


こんな風に先生の事ばかり考えていたらいけないんだ。
やっぱり返さなきゃ、スッパリと切り替えるために。


「そうだね…でも明日には帰るから」


「LINEくらい入れれば?」


「明日帰るよ~って?」


「でもいいし“早く会いたい”とかさ、色々あるじゃん?」


「そうだね……」


早く会いたい……か。


ゆらたちに促されその場でLINEを送ることにした。


「明日…帰るよ、お土産持ってくからね…っと」


送信。


ゆらたちには案の定色気がないと怒られたけど…


「あ、返事来た」


『変なキーホルダーとかいらねーから。食い過ぎて丸くなった顔楽しみにしてる』


「何で大仏ストラップ買ったって分かったんだろう…」


「大地くんも分かりにくっ!」


「あんたたちお似合いかもね」


ゆらとなっちゃんはしみじみと言った。


私は大地を失礼だなと思うと同時に言葉の悪さの裏の優しさを思い出していた。
そしてあの日の珍しく弱気な大地を。


『早く俺のこと好きになれよ』


応えたい。その気持ちに嘘はない。
嘘はないのにこんなんじゃ忘れられない。ポケットの免許にそっと触れる。


それは先生との繋がりだからか単に貴重品だからかは分からない。分からないけど……やっぱり今日中に返そう、何としても。


改めて決意した。

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