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第11章 千恵子～豪華クルーズ船にて

十分にくびれた腰つき。

形よく豊かに盛り上がった乳房。

妻のビキニ姿は、やはり人目を惹くほどに魅力的なのだ。

透はその事実を改めて知った。

「こんなお綺麗な奥様で、ご主人も気が気じゃないんじゃありません？」

カクテルを飲みながら、冷やかすように菊枝が言う。

「ええ、まあ・・・・・」

隣にいる千恵子の様子を気にしながら、透はそう答えた。

阪本夫婦は、そこから過去の旅行話をいろいろと披露した。

クルーズ旅行で出会った様々な人たち。

主にそれは、夫婦で参加している旅行者のようだった。

年齢も彼らからは少し若い30代から40代の夫婦が多いようだ。

そんな夫婦とは、旅行後にも交流を続けているらしい。

会話を交わすのは、もっぱら菊枝と透であった。

他の客で次第に混んできたバーで、四人は時間を過ごした。

千恵子は早く帰りたがっている。

透は、そんな雰囲気を隣にいる妻から感じ始めていた。

千恵子は人見知りをするタイプなのだ。

このように初対面の人間と長くいれば、疲れるに決まっている。

結局、そこには2時間近くいたであろうか。

午後10時を過ぎたころ、透は言った。

「そろそろ失礼させていただきます」

「あら、もうお帰りなの？　まだこんな時間じゃないですか」

「妻が少し疲れていますので」

透の言葉に、千恵子はしかし同意するような素振りは見せなかった。

「無理にお引止めするのもいけないわね」

菊枝がそう言ったとき、隣に座る夫、敬一がさりげない調子で言った。

「ご主人、一つご提案があるんですが」

「何でしょうか」

「明日、1日お互いの妻を交換しませんか？」