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10年目の恋
第3章 月夜の夢
「お姉さんさ。自信持ちなよ。スゲェいい女だからさ」

プッ。思わず笑いが溢れる。

高校生に言われてもね・・・

「ほんとだよ。もし、彼氏がお姉さんの良さを分からないヤツだったら
さっさと別れちゃえよ。俺が付き合ってやるから」

うん。 うん。うん・・・・

暗い部屋でも声色でポチが照れているのがわかる。
ありがと。

「ありがと。昨日さ。ポチがいてくれなかったら
あたし、凹みまくってた。ありがとね」

「ん」

そう言ったきり、あたしとポチは黙り込んだ。

「─────ねぇ、お姉さん」
「ん~?」
「俺たち、もう会えないのかな?」

「多分・・・・
ポチがもし明日、家に帰ることができたら、もう会えないと思う」
「そっか」

本当なら決して出会わないあたしたち。
時間軸の狂いで出会ってしまったあたしたち。

そんなポチにあたしは助けられた。

でも、多分もう会えない。
もう、会う事は出来ない

「俺、お姉さんのこと好きになっちゃったかも」
「・・・・」
「聞き流してくれていいんだけど。
こんな子供の言うことなんて聞き流していいんだけど。
昨日、お姉さんの涙を見て。お姉さんを泣かすのは誰だよって思った」

うん。

「俺じゃダメ?」

ダメなんだよ。
ポチ。
あと2年後にあんたは8年前のあたしと出会うから。

8年前のあたしを大事にしてやって。



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