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10年目の恋
第2章 月夜の雫
あたしもお風呂に入り、何故か二人ならんでシングルベッドに横になった。
「お姉さん彼氏いないの?」
ポチの問いかけに、一瞬詰まるあたし。
「いるんだ?」
「いるけど」
「けど・・・なに?」

けど・・・海外出張をギリギリまで言わない男なの。
けど・・・エッチのあと話もせずに寝る男なの。

なんて高校生に言えるわけがない。

「あたしの話はいいのよ。ポチはなんで家出したの?」
「オヤジがさ。大学は自分の母校に入れってうるさいんだよ。
兄貴が入ったからもういいじゃんね?
どんだけ母校が好きなんだよ」
「ふ~ん」
徹も同じようなことを言ってた。
男の子って親の期待があるもんなんだな。

「オヤジは国立に行ってオヤジと同じ役人になれって。
俺に役人が向いてると思う?」
「いや。それは今日出会ったばかりで分からないけど・・・・」

「俺もっと海外に出たいんだよ。日本で役人なんかやってられっかよ」
高校生らしい夢だな。
役人になれというオヤジさんと日本から出たいという高校生。
27歳のあたしは両方の気持ちがわかって心の中で笑った。

「で?そこまで言うなら志望校があるわけ?」
「うん。J大。あそこの英語は1番だろ」
「J大ね~・・・・」
「なんだよ?」
「いや。あたしの母校」
「マジで!」
「マジで」

この子があたしの後輩になるわけね。
びっくりして飛び起きたポチをなだめて布団に寝かせる。




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