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10年目の恋
第2章 月夜の雫
「オヤジさんをJ大に連れて行ったみたら?印象変わると思うよ。
あのキャンパス。ポチも行ってみて惚れたんでしょ」
「だよな!あの雰囲気。サイコーだよな」
8年前。付き合い始めの頃、徹とも同じような話をして盛り上がったっけ。

「で?なんで一緒に寝てるのよ?」
あたしはごく普通の、当たり前の質問をした。

「だってソファーだと俺足でちゃうもん」
「だからってね!」
「なに?彼氏に怒られちゃう?」
ポチはニヤニヤと笑いながら聞いてくる。
怒るかな。徹は・・・・怒るんだろうか・・・

「わりっ。怒るよな。変なところで黙るなよ」
掛け布団を捲り上げ、出ていこうとするポチを制止する。

「バレなきゃ・・・平気。それにあんた犬でしょ」

しばらくあたしの顔をじっと見つめていたポチが
布団の中に入り直した。

「寝るか」

二人共、上を向いたまま
カーテンからこぼれる満月の光だけを感じていた。



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