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貪られる肉体 - 私のカラダは、誰のモノ?
第5章 回されるもの。
「ただ……いま」

 やっと家に帰れたのは日が上ってからだった。

 日付が変わる頃からはもう雨が止み、外はほぼ無音に近い状態になっていた。

 結局ママへの電話は一度も出来なかったし、心配していたと思う。

 それは携帯の着信履歴が物語っていた。

 そして、私の胸を痛ませる。

「心配……だけだといいな」

 汚れきった体をシャワーで洗い落とそうと浴室に向かうと、脱衣所に着替えが置いてあった。

「……?」

 正確には着替えと、その上に紙が置いてあった。

『おかえりなさい。委員会お疲れ様。今日はゆっくり休んでね』

「うぅっ……」

 ただ母親としての務めを果たしているだけの本当に何気ない言葉は今の私には温かすぎる内容だった。

 学校との温度差に脳が過剰なまでに感情を表に出そうとしてくる。

 味方がいるってこんなにも嬉しいものなんだ。

 自分を思ってくれている人がいるなんて、こんなにも温かいんだ。

 帰る場所があって本当によかった。

 私は汚れた体を抱きしめて、小さな声で涙を流した。

 しかし、この涙は感謝の涙ではなかった。

「あちっ」

 それはすぐに気がつくことが出来た。

「なにこれ……」

 脱衣所で服を脱ぎ、浴室でシャワーの蛇口を捻った時だった。

 目の前の姿見鏡に映った私の体中に大量のキスマークが付いていた。


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