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アネゴ的カノジョ
第6章 酒と温泉と…
 
「…ん?」

 浴場を見回しても湯気が立ち込めているだけで、杏子の他に人影は無い。

「…飲み過ぎた…かなぁ……」

 気のせいだと、胸に泡立てた両手の掌を擦り続ける。

 豊満な胸の瑞瑞しい肌を、小さな掌が滑る。

「んっ……ちょっと…これは………」

 掌に付けた石鹸が滑りを良くし、グニュグニュと胸の柔肉が淫猥に形を歪ませる。

 いつもと違う感覚に、杏子の柳眉が微かに寄る。

「…ん……はぁっ……」

 両手を動かせば動かす程、ツルツルと掌が滑る胸からジワジワと刺激が体に広がっていく。

「…って、アタシは此処で何を………」

 思わず口から熱い吐息が溢れた事で、ハッと我に返った杏子。

「……ぁ………あぁぁ……あぁぁん………」

 再び微かに聞こえた艶めかしい声。

「アタシ…じゃないよな………」

 キョロキョロと浴場を見回しても、やはり人影は無い。

「……ぁん……あん………もっとぉ………」

 先程よりも鮮明に聞こえた喘ぎ声。

「…こっち…か…」

 足音を忍ばせ、露天風呂へと続くガラス扉の前に立つ。

「まさか…な………」

 濡れた床に膝と左手を着いて、音をたてずに右手で扉を僅かに開けた。

「っ!? な…なん………」
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