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アネゴ的カノジョ
第6章 酒と温泉と…
 
 大声をあげている暇など無かった。

 薄暗くなったと思った次の瞬間には、杏子は体に衝撃を感じていた。

「うっ…うぅっ……」

 勢いをつけて布団に寄り掛かった為に、積み上げられた布団が雪崩を起こした。

 固く閉じた瞳を開ければ、暗い空間。

「ったくっ……アタシ…ツイてないな………」

 僅かに動く腕と脚。

 布団の下敷きになり、体の上に積み重なった布団の重さで思うように動かない。

「でもまぁ…これくらいなら……」

 体の下にはカーペットの感触。

 藻掻いていればスペースが出来て、脱出も容易いと高を括っていた。

 モゾモゾと四肢を動かし、体を捩る。

「あ、あれ…?」

 腕や脚を闇雲に動かしたものの、柔らかい布団に囲まれた状態。

 自分の体の向きが分からなくなっていた。

 カーペットの感触で、俯せになっているのは分かる。

 しかし、頭がどの方向に向いているのか分からない。

 更には幾数枚もの布団の重量が、体に伸し掛かる。

「チッ……。どうなってんだよぉ………」

 それでも杏子は肘と膝を使い、布団からの脱出を試みた。
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