この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アネゴ的カノジョ
第1章 姉と弟
ガンガンと鉄階段を駆け上がる音。
解錠する音も無く、バンと隣の扉が閉まる音。
薄い壁越しに、部屋の中をドタドタと歩く音。
閑静だったボロアパートに賑やかな物音が響いても、雅人は動じる事は無かった。
「…また…大家さんに怒られるだろうな………」
思わず苦笑を浮かべる雅人。
天井から吊り下がる紐を引けば、パチッという音と共に部屋が明るくなる。
そして、タイミングを見計らったように、バンッと開かれる玄関の扉。
そのうちに外れるのではと顔を引き攣らせる雅人。
「ただいまっ!」
そんな雅人の気などお構いなしの、明るく高い声が雅人の部屋に響いた。
「おかえり」
返事をする前にズカズカと部屋に入ってきた女性に、雅人は苦笑の色を濃くするだけだった。