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アネゴ的カノジョ
第7章 長い夜
 
「ったく…。ホントにスケベ親父だな……」

 ジトーッと半眼で助役を見遣る杏子。

「いやぁ。こっちは刺激が少ないかですからねぇ」

 悪びれた様子も無く、助役は口を開いたのだった。

 葵の父親でもある助役。

 杏子の体に色目を使う辺り、彼は数年前に葵を連れて引っ越してきた。

 成人した葵の親とは思えない、若々しい風貌。

 実の所、若くして葵が産まれただけに、年齢は四十手前だった。

 そして、葵が小さい頃に妻を亡くしている。

 再婚をする訳でもなく、有り余った性欲はお金を使って満たしていた。

 そんな男の前に、裸同然とも言えそうな姿で居れば、助役の視線が杏子の豊満過ぎる胸に向かうのも仕方が無かった。

「ってか、助役。そろそろ………」

「あぁ、すいません。では………」

 杏子と助役のやり取りの間、空気みたいな存在になっていた町会長。

 その言葉に助役は済まなそうに頭を下げる。

「久し振りだからねぇ…。腕が鳴るよ」

 腹を揺らして歩き始めた町会長の後を追うように、助役も足を動かし始めた。

「お手柔らかにお願いしますよ。……あぁ…そうだ」

 不意に足を止めて振り返った助役に、杏子は小首を傾げるのだった。
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