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アネゴ的カノジョ
第7章 長い夜
 
「全く…歳考えればいいのに………」

 体力切れに合わせて泥酔状態でもあった事で、部屋に運ばれていった町会長。

 通り掛かった職人たちに担がれて運ばれていく様を、杏子は苦笑を浮かべて見送った。

「町会長も何気に負けず嫌いですからねぇ」

 運ばれるのも致し方ないと言いながらも、助役も苦笑を浮かべていた。

「じゃあ、アタシも部屋に……」

 この騒ぎに乗じて、この場を後にしようとした杏子。

「あれあれ? やっぱり負けるの分かってるから…」

「じょ、冗談だってえのっ! アタシは負ける気しないからねっ」

 簡単に助役の挑発に乗った杏子。

 ラケットを手にして、ニヤけた表情を見せている助役をムムッと睨む。

「でも、さっきの私と町会長のラリー見てたら分かると思うけど、アンズちゃんはあそこまで………」

「何言ってんだよっ。アタシだって、あれくらいはっ……」

 手にしたラケットをブンブン振り回す杏子。

 如何にも卓球なんて簡単というアピールを見せるが、助役の視線は、腕を振る度にブルンブルンと揺れる杏子の胸に向いていた。

「じゃあ、まぁ……。軽ぅく、相手してあげますよ」

「それはアタシの台詞だってえのっ」

 見下された発言に、卓球台を挟んで立った杏子は、ビシッとラケットを突き出したのだった。
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