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アネゴ的カノジョ
第7章 長い夜
 
「じゃあ…アンズちゃん……」

「はぁ…はぁ……な…何だよ……」

 呼吸を落ち着かせながら、薄く笑みを溢す助役を見遣る。

「もし、ハンデ付きで負けたら罰ゲーム付きにしましょうか」

「な、何だよ、それっ」

「当然、アンズちゃんが万が一勝ったら、何でも欲しい物買ってあげますよ」

「何で…も?」

「まぁ、家だの車だのは勘弁ですけどね。ちょっとお高い服とかアクセ程度なら………」

「そういうのには興味ねぇんだけどなぁ。
 …でも……何でもかぁ………」

 助役の提案に、既に勝った気でいる杏子。

 頭の中に様々な物を思い浮かばせていた。

「ハンデもあるし、アンズちゃんには悪くない話でしょ?」

「じゃ、じゃあっ。もし、万が一アタシが負けたら、一回だけ何でも言うこと聞いてやるよっ」


 既にねだる物を決めた杏子は、勝ち気満々で助役に薄い笑みを見せた。

「ほう…。『何でも』ですか………」

「お、おう………」

 わざわざ一部分を強調した助役の言い方に、思わず気圧される杏子。

「交渉成立ですね。では、早速続き………」

「あ、ちょい待って」

 更に薄笑いを濃くした助役の言葉を遮る。

「ちょいと、水分補給………」

 荒い吐息も収まり、渇いた喉を潤そうと小さなテーブルに近寄る。

 上に置いた三本の内の一本を手にすると、躊躇う事も無く喉を潤した。

「ぷはっ。さっ、助役さんやるよっ」

 再び卓球台の前に意気揚揚と立つ杏子だった。
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