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アネゴ的カノジョ
第1章 姉と弟
バタンッと扉の開閉音が続く。
『おやすみぃ』と挨拶をして、振り返る事も無く片手を振って杏子が自室へと戻った。
雅人の部屋に静寂が蘇る。
「…はぁ…。全く…姉ちゃんはぁ………」
杏子の相手から解放されて一番、毎晩の事ながら雅人の口から重い吐息が溢れ出した。
「いつもいつも一人で騒いで、ボクの事からかって………」
ブツブツと不満を洩らしながら、小さいテーブルの上を片付ける。
それでも、チョコンと隅に置かれた一本の缶ビールを手にすると、思わず顔が綻ぶ。
「…姉ちゃん……あんまり酒強くないのに………」
缶を軽く振れば、チャプチャプと音がする。
普通に話せる唯一の存在。
実の姉弟でもないのに、幼い頃から弟の様に接してくれる。
親よりも学校生活や進路を気にしてくれて、気に掛けてくれる杏子。
「やっぱ……弟……だよなぁ………」