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アネゴ的カノジョ
第1章 姉と弟
幼い頃から姉の様な存在だった杏子。
何かと言えば、いつも一緒だった。
周りから姉弟と間違われるのも度々あった。
しかし、小学校に入学間際になって、急に転勤になった親。
杏子と離れたくないと幼い雅人が泣き喚いても、所詮は無駄な抵抗だった。
泣く泣く杏子と離れ離れになった事で、活発だった性格はなりを潜めた。
陰湿とも陰口を叩かれながら、小・中学校と過ごした雅人。
それでも、一縷の望みを抱いて、幼少を過ごした場所の高校へと入学したのだった。
親の反対を押し切り、単身舞い戻ってきた雅人。
しかし、かつて住んでいた家もその隣にあった杏子の家も、今は駐車場へと変貌していた。
反対を押し切っただけに、学費以外は自分で賄わなければならない状況。
当然、未成年である雅人に部屋を貸すような不動産屋も大家も居なかった。
途方に暮れながら、今のアパートを見付けだした。
当初は、やはり大家は貸し渋った。
「…あぁん? もしかして……」