この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アネゴ的カノジョ
第2章 想いと現実
「ったく…もぉっ……」
唇を尖らせてブツブツと不満を溢しながら歩く杏子。
ズンズンと歩く衝撃にポニーテールは揺れ、撓わな胸はユッサユサと弾む。
かと言って、そんな杏子の胸に視線を向ける通行人など居なかった。
「ちょっと柱欠けさせただけなのにさぁ…」
棟梁から強引に帰宅を命じられた杏子。
明るい最中でも人気の無い川沿いの畦道を歩いていた。
「しかし…ホント…こっちは過疎ってるよなぁ………」
遥か遠くには、高層の建物がいくつも見えている。
片や、未だに舗装もされていない道もあれば、畑や田圃だらけの緑豊かな地域。
「とても同じ市内とは思えないなぁ………」
両腕を頭の後ろで組み、横目に高層の建物を見遣りながら進む。
若い連中は高校を卒業したと同時に、あの高いビルに囲まれた地域へと出ていく。
杏子の同級生たちも例外ではなく、大半がこの地域から居なくなっていた。
その親もまた、同じ市内だからと安心して出て行かせている傾向があった。
「…だからってなぁ……」