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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
 
 それでも町会長の頼みを受けた以上、途中で引き返す事は出来ない。

 依然として、両腕を頭の後ろで組んだ儘、プラプラと歩みを進める。

「人なんてさぁ……」

 巡回という名目上、辺りを見回しても月明かりに見えるのは畑ばかり。

 人は疎か、動物が動く気配さえなかった。

「十時も過ぎたら、動物も寝る時間なのかねぇ」

 それでも歩き続ければ、自ずと先に進む。

 畦道を抜ければ、漸く舗装された通りへと出て来た。

 かと言って、絶え間無く車が走るような道路でもない。

 車が擦れ違うのもやっとの細い道路に、この時間は車が通る事も無く、道路の両側に建つ店は軒並み閉まっていた。

「夜の商店街ってのは……ゴーストタウンみたいだよな………」

 商店街なのに街灯は無く、店の上階に住む人たちの物音さえしない。

「まぁ、分かりきった事かぁ………」

 キョロキョロと辺りを見回しながら、再び歩き始めた杏子。

「やっと来たか」
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