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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
「うおっ!?」
不意に掛けられた声に、思わず飛び退いた杏子。
「何か、失礼な反応だなぁ……」
唯一ある自動販売機の傍に立っていた男性は苦笑を浮かべる。
「町会長に言われたから来たってのに、随分じゃないか?」
「わ、わりぃわりぃ…。まさか、此処に居るとは…よ………」
杏子はポリポリと指先で頬を掻きながら照れ臭そうにそっぽを向く。
「まぁ、こんな田舎だから大丈夫だろうけど、さっさと終わらそうぜ?」
「あ、あぁ………」
声を掛けられてから、調子が狂い始めた杏子。
短い黒髪をツンツンに立たせた痩身の男性の後ろを歩き出した。
「って、何で後ろ歩いてんのさぁ。何か調子狂うんだけど……」
いつもは先頭に立って歩くような活発な杏子。
静かに後ろを着いてくる事に、クルッと振り返った男性は再び苦笑を浮かべていた。
「あ、アタシも…何だかおかしいと思ってたわ。わりぃな……」
慌てて小走りに男性の脇へと立つ杏子。
男性の肩程度までしかない身長差。
「じゃ、行こうかタケ」
自然と見上げる体勢になりながら口を開くと、二人は並んで歩き始めた。