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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
 
 自動販売機を過ぎれば明かりという物は無く、月明かりを頼りに進む。

「しっかし、タケが来るとは思わなかったよ」

 杏子は調子を取り戻そうと、再び両腕を頭の後ろで組みながら歩く。

「てか、想像出来るじゃん…。…俺とキョウ姉くらいしか、こんな時間に出歩けるヤツ居ないんだからさぁ」

 杏子の歩幅に合わせるようにゆっくり進みながら見下ろすタケ。

 傍から見れば、兄妹とも取れる組み合わせだった。

「…まぁ……アイツは…出ないだろうしな……」

 ある人物が頭に浮かぶが、苦笑しか出ない。

 若い年代が少ない地域。

 残った連中は、自ずとそれなりに顔見知りとなっていた。

「消去法でいったら、残るのはオレっくらいっしょ?」

 ニカッと笑みを浮かべて見下ろすタケ。

「お、おぅ……そうだ…よな………」

 月明かりに照らされたタケの笑顔に、杏子は口籠もって顔を逸らした。


…でも…他に人居るだろ会長ぉっ………


 心中を複雑に乱れさせる杏子は、町会長へ届かない不満を洩らしたのだった。

「それにしても、キョウ姉は変わらないよなぁ………」
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