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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
 
「えっ……あ…おい………」

 タケの言葉に動揺する。

 いつの間にか商店街も抜けて、山の麓にある高校まで来ていた。

 月明かりに照らされたタケの表情は穏やかでも、その目は杏子をジッと見詰めている。

「あ、アタシ…なんか……モテねぇからよ…」

 タケとの視線の絡みを避けて前を向く。

 杏子よりも一つ年下のタケこと武彦。

 幼い頃に雅人を面倒を見ていたように、武彦も可愛がっていた。

「勉強…良く教えてくれたよなぁ……」

 数年前を懐かしんで話し始める武彦。

「あ……あぁ………」

 成績は良かった方の杏子は、試験間際ともなれば度々武彦の勉強を見ていた。

 杏子の教え方もあってか、武彦の成績はうなぎ登りだった。

 杏子が卒業してからも教えていると、最後には楽に進学出来るレベルにまで達していた。

「タケもやっぱ行くのか?」

 武彦も此処を離れるのか気になって尋ねた杏子に、武彦は笑顔を見せたのだった。

「まさかぁ。キョウ姉と一緒に残るに決まってんじゃん」

 ニカッと笑みを溢した武彦に、当時の杏子は胸をドキドキと昂らせたのだった。

「んで……女………もね………」
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