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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
 
「あ…あ…あ………」

 瞬間にボンッと顔を赤くさせる杏子。

 口をパクパクと開けて、どうにか言葉を吐き出した。

「アンタ……何言ってんだよっ!」

 杏子の叫びは山に木霊して、町中へと響き渡った。

「あははっ。やっぱ、キョウ姉は最高だわ」

 照れる杏子を笑い飛ばす武彦に、悪びれた様子は無かった。

「そ、そんな事、普通言うかっ!?」

 武彦の胸倉を掴むような勢いで詰め寄る。

 声色には怒気を孕んでいても、うっすらと涙目に赤い顔で見上げてくれば怖さは皆無だった。

「お互い…初めてだったもんなぁ………」

 そんな杏子の迫力に怖じける事も無く、武彦は飄々と言葉を吐き出したのだった。

「だ、だから、おまっ………」

 武彦の言葉に、当時の光景が頭に過ぎる。

 詰め寄るも、その赤裸々な光景に顔が熱くなり、言葉が続かない。

「そっからさぁ………」

「ちょ…も…もう止めろってっ!」

 ニヤッとした武彦の表情から、更に何を言い出すか見当がついた杏子。

 両手で耳を塞ぎ、赤い顔を激しく振った。
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