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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
 
 雨音の大きさに、声も途切れ途切れに聞こえる。

「この前といい今日といい……。
 何かアタシ…水難の相でもあるんかねぇ………」

 額を垂れる滴を手の甲で拭う。

「じゃあ、オレは巻き込まれたのかぁ」

 杏子の言葉に苦笑を浮かべる武彦のツンツン頭も、濡れてしなっていた。

「ま、まぁ、気にするなって………」

 漸く暗闇にも目が慣れ、武彦の苦笑に気不味くなる杏子。

「でも…こりゃ…ひでぇなぁ………」

 未だに止む気配の無い大雨と、キャミソールがペタッと肌に張り付く不快感にぼやく。

「全く、雨もいつ止むか分からねぇしなぁ………」

 チラッと視線を外に向けて大雨に軽く嘆息すると、徐に背中をベンチに預けていた上体を起こした。

「寒くなくて…助かった…っと」

 そう呟いた杏子。

 両腕を交差させてキャミソールの裾を掴むと、グイッと捲り上げた。

 瞬間に胸がブルンッと弾き出された。

「…あ……」

 両腕を上げてキャミソールを脱ぎ取った杏子の呟きは雨音に掻き消された。
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