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アネゴ的カノジョ
第1章 姉と弟
「もう、やだぁっ」
「なぁ、いいだろぉ?」
「も…もぉっ……。ちょ…ちょっとだけ……だから…ね………」
「そうこなくっちゃっ」
顔を赤らめた女子を抱き寄せて、意気揚々に擦れ違って行く男子。
顔を俯かせた儘で、生き生きとした同年代のイチャイチャカップルを視線で追う。
「…別に……羨ましく………なんか………」
誰に聞かせる訳でも無く、言い訳がましく言葉を吐き出す。
しかし、言ったら言ったで虚しさが込み上げてくる。
暗いイメージの雅人に好意を寄せる女子など居ないのは分かっていた。
当然、女性経験も無ければ、キスもした事など無かった。
過ぎ去るイチャイチャしたカップルの背中を意図せず目で追っている事に気付く。
「…はぁ……」
何度目か分からない溜め息が勝手に溢れ出していた。