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アネゴ的カノジョ
第6章 酒と温泉と…
晴れた昼下がりの陽が差し込む和室へと案内された一同。
二間続きの広い部屋。
「食事は大広間にご用意させて戴きますので……」
言葉を残して下がっていった女将に頭を下げると、各々に寛ぎ始める。
「やっぱり客は俺らくらいだったなぁ」
早々にビールを煽り始める棟梁。
「これなら騒いでも文句出なさそうっスね」
「せっかくの慰安なんだから、楽しまねぇと損だって」
棟梁に続けとばかりに、職人たちも酒盛りを始める。
「…はぁ……」
そんな彼らを、距離を置いて眺めていた杏子。
一つ嘆息すると、緑豊かな窓の外を眺める。
…ホント…こっちはド田舎だよな………
窓の外を見ても、樹木の緑しか見えて来ない。
便の悪さと観光地も無い温泉。
地元の人たちでさえ、立ち寄る事の無い場所だった。
そんな場所だからこそ、棟梁と職人たちは大いに羽が伸ばせると、仕事に区切りがつけば此処に足を運んでいた。
今までは誘われても断っていた杏子。
しかし、今回は逃げ切れなかったのだった。
…よく…潰れないよなぁ…
早くもガヤガヤと騒ぐ職人たちの賑やかな声を耳にしながら、杏子は黄昏れていた。
「ねぇねぇ、杏子さんっ」