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アネゴ的カノジョ
第6章 酒と温泉と…
 
 ペタペタと長い廊下を歩いた突き当たり。

 曇りガラスを嵌め込んだ引き戸をガラッと開け、木製の脱衣棚が並んだ脱衣所へと足を踏み入れる。

 床に敷かれた蓙の冷たさを感じながら、棚の前に二人並ぶ。

「あ、私、葵って言いますっ。
 杏子さんの名前は、町会長さんから聞いてましたっ」

「あ、あぁ…よろしくね……」

 朝に会ってから数時間経ってからの自己紹介。

 朝から気疲れしかしていなかった事で、葵の事など気にする余裕がなかった。

 その事を思い出して苦笑を浮かべながら、杏子はキャミソールを捲り上げた。

「…ん?」

 脱いだキャミソールを棚の籠へと置いた杏子。

 ブラジャーのホックを外した所で、隣に居る葵から動く気配を感じず違和感を覚える。

 何気なく顔を向ければ、ジィーッと視線を向けている葵の姿。

「な、なに?」

 その鋭い眼差しに、思わず言葉が詰まる。

「あ、いやぁ……」

 掛けられた声に我に返った葵は、気不味そうに頬を掻く。

「どうしたぁ?」

 葵の反応に怪訝な表情を浮かべる杏子。

「杏子さん……。おっぱい……凄いなぁって………」

「な…なっ………」

 葵の言葉に、顔を赤らめる杏子。

 腕を体に巻き付けるように、ガバッと両手で胸を隠すのだった。
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