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アネゴ的カノジョ
第6章 酒と温泉と…
…それにしても…マサ……
大丈夫なのか………
葵が静かに髪を洗っている事で、不意に雅人が気になりだした杏子。
この数日、話し掛けても色仕掛けをしても上の空。
そればかりか、心なしか避けられている気までしていた。
…アタシ……何かしたっけ……
暗い雰囲気が更に増した雅人の原因が自分ではないかと考え込む。
…でも…いつも通り……だよなぁ………
キャミソールにショーツだけの姿なのも当たり前。
それに胡坐をかいて、オヤジ臭くビールを煽るのも当たり前。
朦朧とした意識の中で、雅人に絡むのも当たり前。
…やっぱ…分からねぇな………
髪を束ねた後頭部を岩に当て、四肢をだらし無く伸ばして考える。
しかし、いくら考えた所で、杏子には原因が分からなかった。
「…さんっ。……杏子さんってばあっ」
不意に耳に届いた葵の声。
後頭部を岩に預けた儘で、視線を向けた杏子。
その先には、アソコを隠す事も無く仁王立ちになった葵がプクーッと頬を膨らませていた。
「え? な、なに?」
ただならぬ葵の雰囲気に、思わず口籠もる杏子。
「なにじゃなくてぇっ。さっきから何回も話し掛けてるのにぃっ」
不機嫌だと言わんばかりに頬を膨らませた儘の葵だったが、それも束の間だった。
「あっちにもお風呂あるみたいですよぉっ」
途端に表情を崩すと、葵は浴槽の中で伸びた杏子の腕を掴んで無理矢理に引っ張ったのだった。
「ちょ…ちょっとおっ………」
葵のされるが儘に、引っ張り回される杏子だった。