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好きと言って
第4章 思ひそめてん
「梨乃ちゃん。こんなところで何してるのかな~?」

飲み会の席で楽しく飲んでいたのに
私の真後ろで悪魔の声がする・・・・
デジャヴ・・・かな?

無視だ・・・
無視が1番いい。
今の声は聞こえなかったことにしよう。

「梨乃ちゃぁぁ~ん?」

無視だ。

「梨乃ちゃん、この前の人だよ?」
私がずっと無視をするもんだから
今まで一緒に話していたケンジクンが私の後ろを気にしだした。

「知らない人。気にしないで」
「ほ~知らない人と来たもんだ?」

無視だ。無視。

「梨乃!何してるのかって聞いてんだよ」
うるさいな・・・・
「何って飲み会ですよ!分からないんですか?」
あ。まずい。答えちゃった。

「まぁ、今の俺たちには梨乃が何をしても
止める権利はないんだけどな。程々にしとけよ」

そう言うとレン先輩はポンと手を私の頭の上に置いた。
ほんとだよ・・・・
かまわないでほしい。
ほっといて欲しい。
私に・・・触らないで欲しい。

レン先輩を好きだと自覚した瞬間に玉砕しちゃったんだから。
ほっといて欲しい。

席に戻るレン先輩を目で追う。

なんだ・・・・

自分だって合コンじゃん。
冷めた目で、レン先輩の隣の女の子が
レン先輩の腕を撫でるのを見る。

胸が痛いのは
ヤキモチなんかじゃない。
胸が苦しいのは
レン先輩を好きだからじゃない。

「飲みすぎた」

レン先輩と女の子を見ていたくなくて
今回も早々に飲み屋をあとにした。

「今度はレン先輩の来ない飲み屋で飲もう」

そんなことだけを考えて
交差点の信号待ちをしていた。



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