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好きと言って
第4章 思ひそめてん
「頼むよ。送らせてよ。途中で誰かに持ち帰られないか心配なんだよ」
「ふふ。大丈夫ですよ」
「梨乃。頼むから」

レン先輩は私の手を握ってタクシーに押し込む。
私は手に力は入れられないよ。
だって、そんなことをしたら、もう私はレン先輩の手を離せなくなる。

タクシーを降りて私のアパートに着くと
レン先輩の手に鍵を渡す。

確かに飲みすぎだ。
フラフラするから壁に手をついて靴を脱ぐ。

「ほら。ベッドに寝てろ。水を持ってきてやる」
冷蔵庫から出した水をコップに注ぐコポコポという音がなんだか虚しい。

「レン先輩。1度でいいんです。私のこと好きって言ってください」
「・・・・」
「付き合って欲しいなんて言いません。ただ1度だけ。好きって言ってください」
「酔ってるのか?」
「酔ってますよ。だから。明日には忘れますから」

「それは、言えない・・・・」

「意気地なし」



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