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銀の木洩れ日亭へようこそ
第1章 君を拾う
少しの間逡巡した後、ジークは鼻歌交じりに手を動かし続ける少女に遠慮がちに呟いた。

「…なぜだろう、全く知らないはずなのに、懐かしい気持ちにさせる曲だな」

少女はちらりとジークに視線を移し、再び鼻歌を中断した。

「そりゃそうだろう。これは『癒しの歌』。名前も聞いたことはない?」

「残念ながら」

毛布の中から出した頭を素直に振るジークに、少女は目を細める。

「治癒術の一種だよ。とはいえ、ここで歌っても気休めだけどね」

「ここは?俺は…森に落ちたはずだ。貴女が助けてくれたのか?」

ジークの問いに、少女は手を止めてまっすぐ向き直った。

「ここは私の宿屋だ。一昨日、君は森の中で倒れていたのを見つけた。酷い怪我だったから、ここまで運ばせてもらった」


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