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銀の木洩れ日亭へようこそ
第1章 君を拾う
熱のせいか薬のせいか、急に襲う睡魔に抗いつつジークは質問を続けた。

「奴らは…ここに誰かが俺を探しに来なかったか?」

少女は小首を傾げる。

「いや、君がこの宿を始めて最初の客だからね。それ以来、誰も訪ねて来てない」


そんな。

ふわふわと定まらない頭の中が更に混乱する。


森に落ちたのは確認された筈だ。恐らく、とどめをさせていないことも。


相手が諦めてくれたなどと甘い考えを抱いてはいけないことは、この数日間で嫌と云うほど思い知らされている…。



考えているうちに二度、三度、うとうとと夢に誘われる。


ジークは意識を保つべく、頭を振って自分を戒めた。

もそもそと毛布の中で自由の利かない四肢を蠢かせる。


「世話になった…出て行くよ」


奴らに見つかるのは時間の問題だ。

ここにいると、この少女まで危ない。


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