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銀の木洩れ日亭へようこそ
第1章 君を拾う
少女の動向に目を光らせながら、ジークはどろりとした薬湯を恐る恐る啜った。

「ぐぁ!苦っ…」

酷い苦味に、つい悪態をつく。

「頑張れ」

温かい声援とは裏腹に、少女は容赦なくカップを傾けてくる。口内に否応なく流れ込んでくる試練に、堪らず喉を鳴らして嚥下した。

飲みきれなかった分が唇の端から顎へと伝う。
少女はそれを指で拭いながら、勿体ない、と鼻を鳴らす。

「この時期しか手に入らない高級品種なのに」

指で掬った滴をぺろりと舐めとり、カップの底のものも名残惜しそうに平らげた。



「さて、」

少女はジークの下から足を引き抜いた。
後頭部が、ぼふん、と若干乱暴に枕に落ちて身体中の傷が悲鳴を上げ、彼は歯を食いしばった。

「全快には程遠い。ゆっくり休め」

毛布の上からポンと腹を叩く。

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