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籠の中の少女
第2章 少女と小夜香
駅員が二人、小夜香のもとに駆け寄ってきた。
小夜香の瞳ははっきり光を宿し、明確に状況を認識した。
目の前の真剣な表情を変えない中年男性にも、それは伝わったようだった。
小夜香は、中年男性をにらみつけて、叫んだ。
「あたし!! 死ぬのに忙しいんだから邪魔しないで!!」
突然、小夜香は――
中年男性の平手打ちを頬に食らった。
それも、かなり強烈な力の平手打ちだ。
野次馬も駅員も、呆然としている。
一番呆然としているのは小夜香だった。
頬の痛みより、脳の芯まで揺さぶられるような衝撃の方が強く残っている。
小夜香が再び男性をにらみつけて口を開こうとした時、今度は反対側の頬に同じく強烈な平手打ちを食らった。
慌てて男性を静止しようとする駅員に向かって彼は落ち着いた口調で言った。
「この子は私の親戚だ。偶然見つけて助けた。あとは私に任せていただきたい」
――え? 何言ってるのこの人?
小夜香は振動を食らったままの脳で思った。
「列車の運行に多少の障害を与えたことについては大目に見てやって欲しい。私は弁護士なので法的に問題や手続きがあるならば……」
男性は駅員に対し長々と事務的な口調で話しながら名刺を差し出していた。
強く殴られたこともあってか、小夜香の意識はだんだん朦朧としてきた。
そして小夜香は――そのまま男性に連れられていった。
その男性が、佐伯だった。
小夜香の瞳ははっきり光を宿し、明確に状況を認識した。
目の前の真剣な表情を変えない中年男性にも、それは伝わったようだった。
小夜香は、中年男性をにらみつけて、叫んだ。
「あたし!! 死ぬのに忙しいんだから邪魔しないで!!」
突然、小夜香は――
中年男性の平手打ちを頬に食らった。
それも、かなり強烈な力の平手打ちだ。
野次馬も駅員も、呆然としている。
一番呆然としているのは小夜香だった。
頬の痛みより、脳の芯まで揺さぶられるような衝撃の方が強く残っている。
小夜香が再び男性をにらみつけて口を開こうとした時、今度は反対側の頬に同じく強烈な平手打ちを食らった。
慌てて男性を静止しようとする駅員に向かって彼は落ち着いた口調で言った。
「この子は私の親戚だ。偶然見つけて助けた。あとは私に任せていただきたい」
――え? 何言ってるのこの人?
小夜香は振動を食らったままの脳で思った。
「列車の運行に多少の障害を与えたことについては大目に見てやって欲しい。私は弁護士なので法的に問題や手続きがあるならば……」
男性は駅員に対し長々と事務的な口調で話しながら名刺を差し出していた。
強く殴られたこともあってか、小夜香の意識はだんだん朦朧としてきた。
そして小夜香は――そのまま男性に連れられていった。
その男性が、佐伯だった。