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籠の中の少女
第2章 少女と小夜香
山と畑に囲まれた場所にぽつんと立っているその建物の周囲には人影はない。
昼間だというのに妙に静かである。
「お客さん、降りるの? 降りないの?」運転手がイライラした口調で言った。
「あ……すみません、降ります」
小夜香は運賃を支払ってタクシーを降りた。
タクシーは走り去り、小夜香は一人その場所に取り残された。
ここまで来たら、あとは確かめるしかない。
小夜香は大きく深呼吸すると、意を決してアパートの階段を上り始めた。
三階に上り、廊下を歩く。
いつも佐伯に調教を施されている部屋の前を通り過ぎる。
小夜香は突然その扉が開き、顔を怒りで一杯にした佐伯が出てくるような気がして、一瞬立ち止まる。
膝が小刻みに震える。
小夜香は再び深呼吸して気を取り直すと、一番突き当たりの部屋の玄関前に立ち止まった。
耳を澄ましてみる。
何も聞こえない。
部屋の中から人の気配は感じられない気がする。
小夜香は、インターホンのボタンに指をかけた。
その時、背後で物音がした。
小夜香は全身をビクッ、と震えさせると慌てて振り向いた。
しかし、廊下には誰もいない。
そのまましばらく廊下を見ていたが、誰かが来るでもなく、何も起こらなかった。
――気のせい……過敏になってるだけ。
小夜香は前を向き、再びインターホンを鳴らそうとした。
だが、インターホンを鳴らすのをやめると小夜香は玄関扉のドアノブにゆっくり手をかけた。
カチャリ、と小さな音を立てて扉は開いた。
昼間だというのに妙に静かである。
「お客さん、降りるの? 降りないの?」運転手がイライラした口調で言った。
「あ……すみません、降ります」
小夜香は運賃を支払ってタクシーを降りた。
タクシーは走り去り、小夜香は一人その場所に取り残された。
ここまで来たら、あとは確かめるしかない。
小夜香は大きく深呼吸すると、意を決してアパートの階段を上り始めた。
三階に上り、廊下を歩く。
いつも佐伯に調教を施されている部屋の前を通り過ぎる。
小夜香は突然その扉が開き、顔を怒りで一杯にした佐伯が出てくるような気がして、一瞬立ち止まる。
膝が小刻みに震える。
小夜香は再び深呼吸して気を取り直すと、一番突き当たりの部屋の玄関前に立ち止まった。
耳を澄ましてみる。
何も聞こえない。
部屋の中から人の気配は感じられない気がする。
小夜香は、インターホンのボタンに指をかけた。
その時、背後で物音がした。
小夜香は全身をビクッ、と震えさせると慌てて振り向いた。
しかし、廊下には誰もいない。
そのまましばらく廊下を見ていたが、誰かが来るでもなく、何も起こらなかった。
――気のせい……過敏になってるだけ。
小夜香は前を向き、再びインターホンを鳴らそうとした。
だが、インターホンを鳴らすのをやめると小夜香は玄関扉のドアノブにゆっくり手をかけた。
カチャリ、と小さな音を立てて扉は開いた。