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籠の中の少女
第2章 少女と小夜香
 部屋は整然としていて、ベッドと、数冊の教科書らしきものだけが乗っている机がある。それ以外の家具はない。ベランダに続いている大きな窓からは昼の光が入り、厚めのレースのカーテンが引かれている。フローリングの床にも何も置かれていない。
 ただ一つ、『置かれていた』ものは――
 『檻』だ。
 実際には檻ではなく大型犬などでも入れておくような大きめのケージだ。そのケージの中には――
 女性が一人、入れられていた。
 いや、『女性』というより『少女』だ。
 小夜香には、すぐにその『少女』が誰か分かった。
 以前に調教部屋の覗き窓から見た、あの少女だ。
 昼光のもとで、初めて小夜香は少女の顔をまともに見た。
 目は虚ろだが、かろうじて意識を保っていることを示す光は宿していた。
 やはり、年齢は中学生から高校生くらいだろう。学校の制服らしきものを着ている。白のブラウスに襟元には赤いリボン、青いチェックのスカートといういでたちだ。
 だが、ケージへの『入れられ方』は異様だった。
 首から上と両手の手首から先だけはケージの上部から外に出ている。
 前に目撃した時のようなマスクはつけていないが、ボールギャグをくわえさせられ、唇とその隙間からは唾液が垂れている。
 両手と首にはそれぞれ鉄製の輪がはめられ、各々が鎖で繋がれている。
 体はしゃがんで座らされていて、太ももは開いて股間がさらされている状態で、足首にも鉄製の輪がはめられ同じく鎖でケージに繋がれていた。
 まるで犬が飼い主に向かって『チンチン』をしているような格好だ。
 そして小夜香の目に留まったものは――
 少女の足先。くるぶしより下だ。
 やはり、異様に小さい。
 黒のハイソックスに包まれてはいるが、目の錯覚かと思うほど少女の身体の大きさに比べアンバランスで、小さい。
 やはり、何か足の病気なのか。
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