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籠の中の少女
第2章 少女と小夜香
 小夜香は少女の拘束をどうやって外して連れ出すか考えをめぐらせた。
 同時に、少女の小さな足先が目に入った。
 初めて小夜香か彼女を見たとき、その小さな足のせいで普通に歩くのもままならない感じだった。
 少女を捕えている人物は、少女の足が悪いのをいいことに彼女を奴隷のターゲットにしたのか。
 あるいは――。
 小夜香は自分が一瞬思ったその考えに、かすかに戦慄を覚えた。
 ――もしかして……
 ――足が悪いんじゃなく……
 ――あんな足に『させられた』のでは……?
 しかし。
 次に少女が放った言葉にその思考は止められ、小夜香は我に返った。
 「……に……げて……」
 ――逃げて?……って言った?
 「……にげて……おねえちゃんが……あぶない」
 「危ないってどういうこと!?」
 「あの……ひとが……そろそろもどって……くる……」
 小夜香は、とにかくこの場を離れた方が得策であることだけは理解した。
 それにしても――
 ――あの人……?
 ――少なくとも親を指す言い方とは思えない。
 「……ごめんね、必ず助けに来るから!」
 小夜香は迷いつつも、ボールギャグを再び少女の口にはめ直した。
 まだ成熟しきっていない幼さの残る身体をあられもない姿勢にされ、秘壷を淫具で蹂躙され続けたままの少女を置き去りにすることは後ろ髪を引かれる思いだったが、小夜香は逃げるように玄関へと駆け出した。
 玄関扉を急いで開けようとして、小夜香は思案して踏みとどまった。
 廊下に誰かいないか確認してからの方がいい。
 小夜香は玄関扉の覗き窓から外を見た。
 ここの扉からは三階の廊下が端から端まで見える。
 階段へと続く廊下の一番先まで人影はない。
 小夜香はサンダルを履くのもそこそこに急いで外へ出た。
 扉を閉める。最初から施錠されていなかったならこのままで問題ないはずだ。
 廊下を早足で歩いて行く。
 階段に差し掛かろうとした時、小夜香は何かに気づきふと足を止めた。
 耳を澄ます。
 空耳じゃない。
 ――誰かが階段を登ってくる……!
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