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籠の中の少女
第3章 松岡と小夜香
 佐伯は後部座席の鞄からバイブレーターを取り出すと、その先端をフェラチオさせるように小夜香の口に押し込んだ。
 小夜香は動かなかった。というより、動けなかった。
 佐伯はバイブレーターを小夜香の口の奥まで突っ込んだ。
 小夜香は口の中に唾液が溜まっていくのを自覚した。
 信号が青になり、佐伯は車を走らせ始めた。
 やがて小夜香は、口とバイブレーターの隙間から唾液を少しずつ垂れ流し始め、彼女自身のワンピースのひざ部分は水滴の跡が描かれていった。
 小夜香の目は、少しずつ潤みを帯びていった。
 そして潤みを帯びているのは、目だけではないことを小夜香は感じていた。
 アパートに着いたのは宵の口だった。
 小夜香はいつものように佐伯の後ろを付いてアパートの階段を登っていた。
 バイブレーターはまだくわえさせられたままだ。淫具から伸びるコードの先端にあるコントローラーをぶらぶらさせながら、口の隙間からは唾液を垂れ流していた。
 そして『液』を垂れ流しているのは上の唇だけでなく、股間の唇も同じだった。
 ――何もおっしゃられないけど……
 ――本当は何もかもご存知で……
 階段を三階まで上り、廊下を歩き、やがて小夜香は調教部屋の玄関扉前まで連れて来られた。
 小夜香はちら、と一番奥の部屋を見る。
 小窓の向こうは真っ暗だ。灯りは点いていない。
 「ここで待っていなさい」
 佐伯はそう言うとすぐに扉を開け、小夜香を置いて一人中へ入っていった。
 ――どうして鍵が開いてるの……?
 すでに誰かが中に居るのだろうか?
 それとも事前に佐伯が開けておいたのだろうか?
 小夜香は横を向いた。
 一番奥の部屋の窓ガラスは相変わらず、暗い。
 やがて、調教部屋の中から佐伯が出てきた。
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