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籠の中の少女
第4章 佐伯と少女と松岡と小夜香
松岡は小夜香の耳元に顔を近づけて来た。そして声を落として言った。
「レミの足先はね、クリトリスと同じくらいの感度があるんだ」
――えっ……?
「君も大学生なら、この言葉くらいは知っているはず……あの足は纏足なんだよ」
「……纏足……!?」
纏足とは、古来から中国で行われていた風習で、女性の足先を小さくするための施術である。その歴史は長く、唐の時代から近代にまでいたる。もちろん現在はなくなった風習であるが、中国では長らく女性は足先が小さいほど美しいというフェティシズムに基づく価値観があったためである。
小夜香ももちろん纏足の存在は知っていた。知っていたが――
松岡が続ける。
「そのためにレミの足先をずうっと、そう、四六時中だな、固く布で縛り続けてきたんだ。今も続けてるよ……足というのは特に裏に神経が集中してるのは知ってるだろ? 足ツボマッサージなんてのがあるくらいだからさ。普段から素足にさせることなくいつもいつも覆い続けてさ、直接の刺激を受けんようにして、神経をあの小さい足の中に集中して閉じ込めるようにすれば……」松岡が少女を指さす。「ああなるんだよ」
ふと、小夜香は背筋にかすかに冷たいものを感じた。それは消えることなくそこに居座った。小夜香はそれを意識しつつも、やっと小さな声を振り絞った。
「確か纏足って……すぐに出来るものじゃないですよね……一日二日なんかでは」
「もちろん」
「いつから……」
「レミの場合は八年くらいかかってるなあ」
――八年。
――八年!?
――この人は。
何をさらっと言ってのけてるのだろうか?
「幼いうちから縛り付けないと、足が先に成長しちゃうからねえ」
小夜香の背筋の冷たいものが、徐々に大きくなる。
「レミの足先はね、クリトリスと同じくらいの感度があるんだ」
――えっ……?
「君も大学生なら、この言葉くらいは知っているはず……あの足は纏足なんだよ」
「……纏足……!?」
纏足とは、古来から中国で行われていた風習で、女性の足先を小さくするための施術である。その歴史は長く、唐の時代から近代にまでいたる。もちろん現在はなくなった風習であるが、中国では長らく女性は足先が小さいほど美しいというフェティシズムに基づく価値観があったためである。
小夜香ももちろん纏足の存在は知っていた。知っていたが――
松岡が続ける。
「そのためにレミの足先をずうっと、そう、四六時中だな、固く布で縛り続けてきたんだ。今も続けてるよ……足というのは特に裏に神経が集中してるのは知ってるだろ? 足ツボマッサージなんてのがあるくらいだからさ。普段から素足にさせることなくいつもいつも覆い続けてさ、直接の刺激を受けんようにして、神経をあの小さい足の中に集中して閉じ込めるようにすれば……」松岡が少女を指さす。「ああなるんだよ」
ふと、小夜香は背筋にかすかに冷たいものを感じた。それは消えることなくそこに居座った。小夜香はそれを意識しつつも、やっと小さな声を振り絞った。
「確か纏足って……すぐに出来るものじゃないですよね……一日二日なんかでは」
「もちろん」
「いつから……」
「レミの場合は八年くらいかかってるなあ」
――八年。
――八年!?
――この人は。
何をさらっと言ってのけてるのだろうか?
「幼いうちから縛り付けないと、足が先に成長しちゃうからねえ」
小夜香の背筋の冷たいものが、徐々に大きくなる。