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籠の中の少女
第1章 佐伯と小夜香

    ※  ※  ※

 それは、佐伯が調教部屋の鍵を開けている時だった。
 小夜香はこれから佐伯に施される調教を想像して、緊張と嬉しさとで高揚し、自分の陰部が湿り気を帯びていることに気付いた。この部屋の前に連れられてきて佐伯が鍵を開けようとするたびに、もう何度も同じように繰り返している身体の反応に恥ずかしくなり、そんな自分の身体をごまかすように何気なくあの小窓を見た。
 その時。
 小夜香は自分の目を疑った。
 顔!
 廊下の一番奥の部屋。
 小窓の型ガラスに。
 明らかに女性が横顔を押し付けていた……!
 もちろん小夜香は以前から佐伯にこのアパートは全て空室で誰も住んでないと聞かされていた。
 ――じゃあ、あれは何……?
 その時も小窓の向こうに明かりは点いていなかったが、横顔の押し付けられている部分だけははっきり見えた。顔全体を識別するには無理があったが、女性であること、ボールギャグを噛まされていることだけはすぐに分かった。そしてその女性は必死に助けを求めているようにも見えた。
 そうしているうちに、女性は引っ張られるようにして部屋の奥へと消えた。中に誰かがもう一人おり、助けを求めようとしている彼女を窓から強引に引き離したように見えたのだった――。

    ※  ※  ※

 その時、佐伯が施錠済みの扉を引く音の三回目が聞こえた。
 小夜香はまだ奥の部屋の窓から目が離せない。
 佐伯がゆっくり振り向いた。
 小夜香は、ハッと我に返り、佐伯の方に視線を戻した。
 佐伯は何も言わず、階段の方へと廊下を歩き出した。
 ギリギリの所で、小夜香が視線を戻した方が早かったようだ。
 淫具に膣を弄ばれながら、小夜香は佐伯の後を付いて歩き始める。
 ――ご主人様……本当にあの部屋には誰もいないんですか……?
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