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主な君に逆らえない
第1章 こういうことってありますよね?
ネクタイをシュルっと滑らせるように手でなでその先に唇を当てました

その仕草に心臓に血液が早く流れ込んでいき、息をするのが苦しいような感覚に襲われます

「このネクタイを制服の時には必ずつけておけよ。証だから」

なんの証でしょう?

「はい」

特に考えもせずに口からは自然と言葉が出ていました

次の瞬間には彼の柔らかい唇が私の唇と重なっていました

喉の乾きを感じます

離れた唇は少し湿っていました

彼の右手の指が私の顎と唇をなぞって行きます

私の体にはぞくぞくとした寒気が、触れられた場所から走ります

「あんた・・名前は?」

「天璃矢 咲・・です」

「ふーん。」

それだけで彼の煌めいた瞳が私を捉えました

何と言っていいのか、何をしたらいいのか全く頭が働かないので私も困ってしまいます

私自身にも困ってしまいます

心臓が変わりもなく大きく響く様に鼓動を続け、どういう状況なのかすら把握しきれていません。

それに私、男性と口付けをしたのは初めてでした。

こんなにも早く貞操の危機を迎えてるとは思いもしないので、驚きが大きく、ショックを受けていて対応がしきれていないのだと思います

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