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みなしごの告白
第1章 告白 一
実家に着くと、常務は私の母親に挨拶をされました。それと同時に、帰宅が遅くなってしまったことを詫びてらっしゃいました。あとは『見込みのある優秀な人材です』みたいな感じで私のことをものすごく褒めてくださったり、『お母様お一人での子育ては大変だったでしょう』と母にねぎらいの言葉をかけられて母もそれを嬉しそうに聞いていたり……玄関前でしたし寒い時分のことですから時間にしてほんの十分程度のことだったと思いますが、私にはそれが……一時間にも二時間にも感じられました。だって……車から降りると、座って同じ姿勢を保っていた間は気づかなくなっていましたが、身体を動かすと、下着の中がすごく濡れているのが分かったからです。『分かったから』って変ですよね。忘れていたのをいやおうなしに自覚しただけですよね。下着も何も一切脱いでないわけですから、膣液の逃げ場所なんて……ありませんもの。拭いてもいないですし……でも、それを自覚した状態でずっと黙って常務と母のやりとりを聞いてるわけです。それはもう恥ずかしくて恥ずかしくて、それで時間がものすごく長く感じたんです。私は……ずっとうつむいていたと思います。一時は夢か幻かという気にさえなっていた事が、やはり事実であったわけで、もし母が私の下着の中の状態を知ったら何て思うだろう……とか考えたりしてました。あまりに私が何も言わず下ばかり見ていたものですから、母から『こんなによくしてもらって木綿子も何か言いなさい』とたしなめられたくらいです。