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みなしごの告白
第2章 告白 二

(1)

 次の日、目が覚めた時、何と言いましょうか、もやもやした気分というか……いえ、前の日の余韻とかではないんです。あの……そろそろ生理だなって。私、いつもじゃないんですけど時たま生理前になると理由もなく不快な気分になったりするんですね。あの時は、ちょっとそれが強めに出た時でした。
 起きて携帯を見ると彼からメールが来ていました。あ、彼って常務じゃなく同級生の……。『今日会えないか?』という内容でした。それを読んで、嬉しい気持ちはあったんです、あったんですけど、どうしてメールで済ませるの? 直接電話で誘って欲しいのに、なんて気持ちになって、妙にイライラしてしまって……。それと、あの……恥ずかしいんですけど、もしかしたらちゃんと今日からお互い付き合うことになって、さっそく誘われて抱かれることになったらどうしよう、とか考えちゃうと、突然自分で自分が嫌になっちゃったんですね。生理の影響が大きかったんだろうと今は思うんですが、そんな風にいろんな余計な考えが頭の中をグチャグチャにかき回してしまったものですから、急にしばらくは彼と会いたくない気分になって、来週まで予定が詰まってて会えないといった趣旨のメールを返したんです。してもいないのにバイトで忙しいとか、適当な理由を書いた記憶があります。来週までって書いたのは……その頃には生理も終わってるだろうなって……え? ……いえ、違うんです。精神的な不安定が治まるまで待ってもらおうなんてちゃんとした理由じゃなくて……生理終わった後なら……抱かれることになっても……大丈夫かなって……おかしいですよね。もやもやして会いたくない気分で断りのメールを送ったくせに、それを打ってる時にそんな打算してるんですもの……。それに対する彼の返事は……うん、いい人なんです。優しい人なんですよね。私の嘘を信じ込んで、『仕方ないから待つよ』でした。私、携帯をベッドに放り投げちゃいました。待つよ、って何よ……みたいな。うのみなんかせずに無理やり電話の一本でも掛けてくれたらいいのに、って。それでもとにかく、日を決めて会う約束だけはメールで済ませました。
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