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みなしごの告白
第5章 告白 五
あ……もう一つ言っておかないといけないことがありました。少し暗い話になってしまって申し訳ないんですけど……実は、それくらいの頃に、母が病気で他界したんです。……いえいえ、そんな風に恐縮されないで……私が話さないといけないと思ったから話してるだけです……。今思えば、その時だけでしたね、常務に一切ご奉仕することも、犯していただくこともない日ができたのは……。ただ、その……ええ、もちろん母が急に倒れて、病院に運ばれて会社にいる私に連絡が来て……くも膜下出血だったんです。あっけないものでした。母の死に顔は……どこか微笑んでいるようで、なんか幸せそうでした。女手ひとつで私を育ててくれて、私を、立派とは言いがたいですけど普通に働けるような一人前の人間にしてくれて……一人前の……オンナにしてくれて……。もちろん常務との関係は母には秘密でした。さすがに言えませんもの……親子ほど離れた歳で妻子もいらっしゃる男性に毎日毎日身体を愛でられてるなんて……。罪悪感? ですか? ……ないと言ったら嘘になります。でも母が死んだその日は、そんな罪悪感なんて頭をよぎる余裕もなく、ただただ悲しさだけが込み上げてきて……働いてから初めて、常務のことさえも頭から消えました。母とのいろんなこと思い出して……ずっとずっと泣いてました。もっともっと働いて、お金を貯めて、プレゼントあげたり旅行に連れて行ってあげたりしたかった……。
でも……
私……
一週間も経たないうちに……
悲しみも残っているのに……母との思い出にもまだ浸っている最中ですのに……、身体はもう常務を求めていたんです……。
でも……
私……
一週間も経たないうちに……
悲しみも残っているのに……母との思い出にもまだ浸っている最中ですのに……、身体はもう常務を求めていたんです……。