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みなしごの告白
第5章 告白 五

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 それからしばらくして、今度は常務に変化が現れるようになりました……私に対してということではないんですが、常務ご自身のことで……若干体調を崩されることが増えてきたんですね。血圧が高くなりがちで、お医者様にも通われるようになりました。そしてある時、私にこう話されました……。『“老い”というものが、お前はもう“男”ですらなくなってきているんだ、と宣告してくる。自分がだんだん“男”ではなくただの“動く肉塊”になってきている感覚を、そいつは容赦なく俺に突き付けてくるんだ』――と。仕方のないことだと思うんですが、やはり歳を重ねていくにつれ、男性の精力というのは少しずつ衰えていくものだと……それが男性としての存在意義というか、アイデンティティを、雨水が巨岩を少しずつ侵食していくように、少しずつ確実に……削られていく感じがするそうです。常務はお仕事はすごくお出来になる方でした。……でもそういう問題じゃないんですよね。平たく言ってしまえば……気持ちはもっともっと、私の身体を力の限りボロボロに蹂躙したいのに、ご自身のほとばしりの足りなさに……歯がゆさと寂しさを感じられていたんですね。
 ある時……珍しく常務は私をホテルに連れて行かれました。そのあたりにあるような安普請のラブホテルなどではなく、部屋の広い、調度品も揃ったそれなりのランクのホテルでした。常務は私を全裸にされると、首輪を付けられました。首輪には小型の音楽プレイヤーを取り付けられ、それに繋げたヘッドフォンを私の両耳に付けられました。そしてヘッドフォンごときつく目隠しされました。
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