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みなしごの告白
第5章 告白 五
 常務の動きが、突然止まったんです。
 そして……声を出したくても出せないような、うめくような、それも弱々しい、絞り出すような……そんな常務の声がしたかと思うと……おちんぽは私のアナルから抜け落ち……常務はその場で倒れられました。宙吊りの不自然な姿勢なので常務の方を見ようとしてもなかなか顔を動かせませんでしたが……常務は全裸のまま、それっきり……二度と起き上がられませんでした……。
 心筋梗塞だったんです。常務は、私のお尻の穴を犯しながら亡くなられたんです。
 私のしでかしたことで……よほど常務は……一日中ずっと怒りの感情だけに支配され、頭には血が上りっぱなしで……普段の高血圧と合わさって、心筋梗塞の引き金になってしまったのかも知れません。そういう意味では……私が常務を殺したようなものですよね……。え? 私ですか? もちろん固く縛られて宙吊りのままですから動けません……半日ほどそのままだったでしょうか……。ただただ、何が何だかわけが分からず、かといって助けを求めることもできず……ありますか? ないですよね、普通そんな経験……目の前で人が倒れて、救急車さえ呼べず、息を引き取られた方と半日近くずっと一緒に過ごす……。遺体と一緒だった怖さ? ……ふふ、そんなのありませんよ……混乱してたからじゃありません。もちろん最初はそうでしたが、半日も時間があったんですもの……不思議なもので吊るされたまま、気持ちはだんだん落ち着いてきて冷静になって……縛られてうっ血してきてる部分の痛みを感じつつもそんなのどうでもよくて……彼の胸に耳を当てて鼓動を確かめることはもちろんできないです。できないけれど、もうとっくに……息を引き取られてることは……確かめなくても伝わってきました。そして冷静になると……傷だらけの全裸の身体で、動けないよう縛られた宙吊りのままで……涙が止めどなくあふれて、……あふれて、あふれてあふれてあふれてあふれてあふれて、止まらなくて止まらなくて……。
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